Abstract
- Background
- Nurses play a pivotal role in disaster management across the globe. With the call for all nurses to be prepared for disasters、 disaster nursing education and training programs have expanded globally. However、 a clear picture of the development and coverage of disaster nursing education and training programs is lacking.
- Objectives
- This study aimed to establish an overall picture of the development of disaster nursing education and training programs in the last 20 years、 outline the contents included、 approaches adopted and outcomes reported.
- Methods
- A systematic search for relevant literature published between January 2000 to December 2019 was conducted using electronic databases including the CINAHL、 MEDLINE、 PubMed、 Web of Science、 and Scopus with the keywords on disaster nursing education and training.
- Findings.
- A total of 75 eligible studies were identified from 3395 potentially relevant articles. The numbers of disaster nursing education and training programs increased gradually over the past 20 years. They were offered in various countries with an unbalanced geographical distribution. Most of the existing programs focused on disaster preparedness and response、 especially on the skills of triage during disaster response、 instead of addressing the full spectrum of disaster management that included mitigation、 preparedness、 response、 and recovery phases. Multiple approaches and technologies were adopted、 including competency-based、 all-hazard、 inter-professional、 flipped classroom、 simulation、 tabletop exercises、 and virtual reality ones. Nearly half of the included programs adopted a pre- and post-test evaluation to examine the outcomes of learning and all of the programs reported significant increases in nursing professionals' knowledge and skills of related content on disaster management covered in the training programs.
- Conclusions
- This review provides nurse leaders、 educators and researchers in nursing with an understanding of the state-of-art of the existing disaster nursing education and training programs. More disaster nursing research are necessary to enhance the knowledge、 skills and readiness of the nursing professionals for disaster management in meeting global disaster challenges.
抄録
- 背景
- 看護師は世界中で災害管理において重要な役割を果たしている。すべての看護師が災害に備えることが求められる中,災害看護教育および訓練プログラムは世界的に拡大している。しかし,災害看護教育および訓練プログラムの開発と対象範囲に関する明確な全体像は不足している。
- 目的
- この研究は,過去 20 年間の災害看護教育および訓練プログラムの開発の全体像を確立し,含まれる内容,採用されたアプローチ,および報告された成果の概要を確立することを目的とした。
- 方法
- 2000 年 1 月から 2019 年 12 月までに出版された関連文献の体系的な検索が, CINAHL ,MEDLINE,PubMed,Web of Science,およびScopusを含む電子データベースを使用して,災害看護教育と訓練に関するキーワードで実施された。
- 結果
- 関連する可能性がある論文 3,395 件から,合計 75 件の適格な研究が特定された。災害看護教育・訓練プログラムの数は,過去 20 年間で徐々に増加した。これらはさまざまな国で提供されており,地理的には不均衡な分布となっていた。既存のプログラムのほとんどは,緩和,準備,対応,復旧の各段階を含む災害管理の全領域に取り組むのではなく,災害の準備と対応,特に災害対応時のトリアージのスキルに焦点を当てていた。コンピテンシーベース,オールハザード,専門職間,反転授業,シミュレーション,机上演習,仮想現実など,複数のアプローチとテクノロジーが採用された。含まれているプログラムのほぼ半数は,学習の成果を調べるために事前および事後テスト評価を採用しており,すべてのプログラムで,訓練プログラムでカバーされる災害管理に関する関連内容に関する看護専門家の知識とスキルが大幅に向上したと報告されている。
- 結論
- このレビューは,看護分野の看護師リーダー,教育者,研究者に,既存の災害看護教育および訓練プログラムの最先端の理解を提供する。世界的な災害の課題に対処するために,災害管理に関する看護専門家の知識,スキル,準備を強化するには,さらなる災害看護研究が必要である。
コメント
このシステマティックレビューにより,世界中で実施されている災害看護教育・研修プログラムの現状をよく理解することができる。特に災害看護教育に興味をもつ人にとっては,良質な災害看護教育・訓練プログラムについての文献が提示されているので,大変参考になるだろう。また,被災地支援に参加する人にとっても,どのような知識・技術を身に着けるべきかというヒントになる。 災害看護教育・研修プログラムの焦点は,多岐に渡るが,バイオテロ(75件中13.3%),感染症(5.3%),火災,地震,竜巻,交通事故などがみられている。プログラムは看護学生向け(56.0%),看護師向け継続研修(44.0%)であるが,いずれも短期間の研修が主であるため,著者らは,看護学部学生を対象とした基礎的かつ単位化された教育プログラム,大学院看護学生を対象とした高度実践プログラム,現役看護師を対象とした現任教育プログラムが緊急に必要であることを提言している。また,多くのプログラムは,災害管理サイクルにおける準備段階と対応段階に焦点をあてたものであったため,復旧段階に焦点をあてる必要性を著者らは述べている。 災害看護教育・研修プログラムで採用されているアプローチは,1.コンピテンシーに基づく教育アプローチ,2.オール・ハザード・アプローチ,3. 専門職間訓練/共同学習アプローチ,4. 災害シミュレーション,5.机上訓練,6. オンライン教育,7.バーチャルリアリティ技術の活用があげられていた。 コンピテンシーとは,優れた成果を創出する人物に共通してみられる行動特性であり,災害看護においては,国際看護師協会(ICN)がWHOと2009年に共同公開した『災害看護コンピテンシー枠組み(ICN Framework of Disaster Nursing Competencies)』が有名である。2019年に出された『災害看護コアコンピテンシー2.0版(Core Competencies in Disaster Nursing Version2.0)』は,日本語に翻訳され公開されているので,被災地支援にあたる方々を含め関係者には是非,ご一読いただき,各自のコンピテンシーについて振り返り高めていただきたい。 chrome-extension://efaidnbmnnnibpcajpcglclefindmkaj/https://www.u-hyogo.ac.jp/careken/_src/65907196/ICN_disaster-Comp2.0_JP.pdf?v=1697159174451 オール・ハザード・アプローチとは,保健医療システムが危機に瀕したときに,自然,技術,社会的な問題に関連するリスク軽減,緊急事態への備え,対応行動,地域社会の復興活動を,原因の如何を問わず網羅するアプローチである(WHO/Europe, 2020)。ニューヨーク州のロチェスター大学看護学部ではこのアプローチを採用した教育が災害看護学の修士課程で提供されている。 75文献のうち34件は事前・事後テストデザインを採用し,27件は記述的事例研究デザインを採用していた。すべての報告において実施プログラムは効果があったことが述べられているが,使われている研究デザインは内的妥当性の検証という観点からは弱いものであるので,その効果を一般化するには限界がある。 著者は,災害看護教育・訓練プログラムは過去20年間で大幅に増加したが,地理的に偏りが見られ,米国では多いが,アフリカ,東欧,南米大陸では不十分であると結論づけている。日本でも良好な多くのプログラムが実施されているが,本論文の検索では該当論文はなかったので,今後,海外発信が課題だと考えられる。