A+ A A-
  • カテゴリ: top20
  • 参照数: 181

No. 2 (被引用数:261)

Abstract

Ecological disasters highlight the importance of understanding natural disasters as they relate to a changing global climate. Such disasters often have a predictable pattern of evolving over time and anticipated psychological and behavioral problems and community disruptions. Various factors enhance transmission of these adverse effects beyond the geographic location of the ecological disaster, with certain populations being particularly vulnerable to these effects. Understanding the range and pattern of these effects can aid in optimizing interventions. The use of evidence-informed interventions can reduce distress, enhance well-being, and improve functioning for affected individuals and communities. Effective preparedness involves an understanding of these factors, incorporation of them at all stages of disaster management, and continuous education and training for disaster planners and responders. Keywords: disaster, mental health, trauma, vulnerable populations, early interventions

抄録

自然災害は地球規模の気候の変化に関連しているため,生態への災害は,自然災害を理解することの重要性を浮き彫りにしている。そのような災害は,時間の経過とともに展開する予測可能なものが多いが,心理的,行動的問題や地域社会の混乱が予想される。さまざまな要因により,生態学的災害が発生した地理的位置を超えてこれらの悪影響が伝播しやすくなり,特定の集団は特にこれらの影響を受けやすくなる。これらの影響の範囲とパターンを理解することは,介入の最適化に役立つ。エビデンスに基づいた介入を用いることで,苦悩を軽減し,幸福を高め,影響を受けた個人やコミュニティの機能を改善することができる。効果的な備えのためには,これらの要因を理解し,災害管理のすべての段階にそれらを組み込むこと,そして災害計画者と対応者に対する継続的な教育と訓練が必要である。 キーワード: 災害;メンタルヘルス; トラウマ; 脆弱な人々; 早期介入

コメント

 著者は,短期間に発現する突然の異常気象現象 (津波,地震,ハリケーン) と,長期間に進行する現象 (洪水,干ばつ,山火事) を合わせ生態的災害と呼んでいる。このレビューは,生態的災害が社会に及ぼす影響とその対応と復興のための方略を提供している。  生態的災害は,地理的境界を超えて地域社会に深刻な混乱を引き起こす可能性がある。心理的および行動的反応は,災害後に重篤な健康問題を引き起こす可能性がある。効果的な対応と回復の取り組みには,地域社会の反応と,復興に影響を与える文化的および文脈的要因を理解することが不可欠だと著者は述べている。生態的災害,特に単一の急性事象(津波,地震,ハリケーンなど)を伴う災害の後,心理社会的回復は 6 つの段階を経て進行することがよくある。それは,茫然自失期,英雄期,ハネムーン期,幻滅期,記念日反応,再建期があげられている。これらを理解することで,復旧作業のタイミングとリソースの配分が最適化される。著者らは,介入はエビデンスに基づいたものであり,地域社会のニーズに合わせたものであり,安全,鎮静,自己効力感,地域社会の効力感,社会的つながり,希望や楽観主義といった重要な要素を強化するのに役立つものでなければならないと述べている。また,コミュニケーションは,災害の予期および災害への対応において重要な介入ツールであると著者らは述べている。つまり,危機時のコミュニケーションは,人々の信頼を築き,重要な健康増進行動(避難,屋内避難,社会的距離など)への参加を強化し,苦痛を軽減し,コミュニティ内の結束を促進すると述べられている。災害時,効果的なリーダーシップが発揮されるためには,コミュニティのメンバーとのコミュニケーション,存在感,誠実さ,信頼できる姿勢,セルフケアのモデル化,悲しみや喪失などのコミュニティの課題への対処が含まれ,それはコミュニティの回復に不可欠であると説明している。 この文献レビューは広大なテーマをあつかい,いわゆる自然災害によって影響を受けるメンタルヘルスと介入の在り方についてまとめられており,その全体像を把握するのに役に立つだろう。