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No. 5 (被引用数:84)

Abstract

Disaster management agencies invest differing levels of resources into guiding communities to get ready for a range of hazards, and are increasingly turning to community engagement as a way of increasing preparedness. This paper presents a systematic literature review that reports on the effect of community communication and engagement techniques that have been used in a hazard preparedness context. The review findings suggest that most community engagement techniques are effective in generating some level of increased preparedness. For techniques that were found not to work, lack of benchmarking research, context and skill levels of those implementing the engagement were thought to be at fault rather than structural or conceptual problems with the technique itself. Face to face techniques were more consistently successful than mass media campaigns. However, all of the intervention types reported had some measure of success, even though there were individual failures. The 41 studies included used a wide variety of research methods that also varied greatly in rigor and replicability. Agency efforts to engage communities in preparedness should include a wide range of techniques that work together to change behaviour, including face-to-face community engagement that triggers and supports community-led preparedness activity. Keywords: Community engagement; Hazard; Risk reduction; Preparedness; Community engagement tools

抄録

災害管理機関は,地域社会がさまざまな危険に備えるよう指導するためにさまざまなレベルのリソースを投資しており,備えを強化する方法として地域社会の関与にますます目を向けている。この論文は,危険への備えにおいて使用されてきた地域社会のコミュニケーションと関与手法の効果について報告するシステマティックレビューである。レビュー結果は,ほとんどのコミュニティ参加手法が,ある程度の備えを強化するのに効果的であることを示唆している。機能しないことが判明した手法については,手法自体の構造的または概念的な問題ではなく,ベンチマーク調査の不足,状況,および取り組みを実施する者のスキル レベルに問題があると考えられた。対面手法はマスメディアキャンペーンよりも一貫して成功した。ただし,報告された介入タイプはすべて,個別の失敗はあったものの,ある程度の成功を収めた。含まれる 41 件の研究では,厳密さと再現性においても大きく異なる多種多様な研究手法が使用されている。地域社会を備えに参加させるための政府機関の取り組みには,人々の行動を変えるために地域と協働する幅広い手法が含まれるべきである。それには主導の活動を引き起こし支援する対面での地域参加がある。 キーワード: コミュニティ・エンゲージメント; 危険; リスク削減; 準備; コミュニティ参加ツール

コメント

 本稿では,システマティックレビューを行い,自然災害への備えにどのようなコミュニティ・エンゲージメント手法が用いられてきたか,その手法のうちどれが効果的であったか,また,これらのコミュニティ・エンゲージメント手法を評価するためにどのような研究手法が用いられたかを明らかにすることを目的としている。  データベース検索により合計1331件から,最終的に41件が対象となった。データで最も多かった自然災害は山火事(14件)で,次いで洪水(13件),一般的な緊急事態(9件),地震(5件)であった。またほとんどの研究はオーストラリア(19件)と米国(8件)を拠点としていた。対象文献のうち,13件は研究の質が高いと判断されたが,13件は中程度,15件は課題があると判定された。  自然災害への備えに使われていたコミュニティ・エンゲージメント手法は,ワークショップ,情報キャンペーン,コミュニティ防災訓練や演習,街頭やコミュニティの集会でのセミナー,地域連合の結成などがあげられていた。ワークショップは,最も評価され成功した介入であった。地域の様々なステークホルダーにより詳細な洪水リスクマップを作成することを目的としたワークショップやオーストラリアでのコミュニティ洪水緊急計画などが例として紹介されていた。  これらの手法を評価するために使用された研究方法は多様で,観察から大規模なサンプル,無作為調査まで多岐にわたり,10の異なる方法が特定された。この多様性は,研究の質の比較を困難にしたと著者は述べている。  すべての介入には,なんらかの効果がみられたと著者は述べている。特に効果が高かったものは,参加住民の情報ニーズをとらえたワークショップ,コミュニティに特有の危険(例:沿岸地域での嵐や洪水,ビクトリア州の山火事など)を扱った情報キャンペーンは効果が高かった。一方で,活動やキャンペーンを成功させるために必要なベンチマーク調査に関する記載はほとんどなく,用語の使用に研究間でばらつきがあり,計画実施においては改善の余地があると著者らは述べている。  ベンチマーク調査は,対象コミュニティの現状を把握して戦略策定に活用するこ とや事例を調べ対象の戦略に活用することを含む。コミュニティの備えに 対する介入は,比較的小規模で行なわれることが多いが,減災復興についての全 体像の中で,自他の調査を通して計画されることが望ましい。