Original Article
Experiences of nurses involved in natural disaster relief: A meta‐synthesis of qualitative literature
自然災害救援に携わる看護師の経験: 質的文献のメタシンセシス
Abstract
Aim To explore nurses’ experiences in natural disaster response. Background
Nurses are key to disaster response. There is a growing body of qualitative research exploring this emerging nursing issue. However, there is a need to synthesise and summarise this body of knowledge to identify the overarching elements of how nurses experience working in disaster situations to reflect on their experiences so that we may help shape future clinical practice, research and education.
Design
Qualitative meta-synthesis.
Method
Following PROSPERO guidelines (Moher et al., 2015), an exhaustive and systematic literature search and quality appraisal was undertaken in December 2019 to reveal nurses’ experiences during natural disaster response. Sandelowski and Barroso's systematic retrieval, analysis and interpretation of findings method was used to produce a meta-summary of findings from 10 papers evaluating experiences across 9 disasters. A meta-aggregation was used to synthesise the findings from the studies and was methodically quality assessed with PRISMA and CASP.
Results
Our findings aggregated data from 42 sub-themes, into the following four themes to capture nurses’ experiences after responding to disasters. These included agile response; leadership and innovative problem solving; building resilience; positive communication and need for psychological/emotional support.
Discussion
This meta-synthesis provides evidence to illustrate nurses’ resilience and leadership capabilities as means to manage and perceive their disaster relief response. Factors such as emotional intelligence, capacity to react to changing situations, to manage scant resources in extreme situations were highlighted in nurses practising in highly stressful environments. Managers can use these examples to support ways to improve disaster management policies, but also, to engage in support for their staff.
Relevance to clinical practice
The role of nursing staff in disaster rescue is receiving significant attention. Understanding nurses’ experiences during disaster rescue can help future leaders to improve capacity to respond and nursing preparedness through education, training and management, but also for continuing emotional support after the event.
KEYWORDS: disaster management, disaster nursing, disaster relief, meta-synthesis, natural disaster, nurses
抄録
目的
自然災害対応における看護師の経験を探索する。
背景
災害対応の鍵となるのは看護師である。この新たな看護問題を探索する質的研究が増えている。しかし,看護師が災害状況下どのような働く経験をし,その経験を振り返るのか,その包括的な要素を明らかにするために,一連の知識を統合し要約する必要がある。
デザイン
定性的メタシンセシス。
方法
PROSPERO ガイドライン (Moher et al., 2015) に従って,自然災害対応中の看護師の経験を明らかにするために,2019 年 12 月に徹底的かつ体系的な文献検索と質評価が実施された。Sandelowski と Barroso の体系的な調査結果の検索,分析,解釈手法を使用して,9 つの災害にわたる経験を評価した 10 件の論文から調査結果のメタシンセシスを作成した。メタ集計を使用して研究結果を統合し,PRISMA と CASP を使用して系統的に質評価を行った。
結果
私たちの調査結果では,災害対応後の看護師の経験を把握するために,42 のサブテーマからのデータを次の 4 テーマに集約した。それは,俊敏な対応;リーダーシップと革新的な問題解決;レジリエンスの構築;積極的なコミュニケーションと心理的/感情的サポートの必要性である。
議論
このメタシンセシスは,災害救援への対応を管理し認識する手段としての看護師の回復力とリーダーシップ能力を説明する根拠を提供する。非常にストレスの多い環境で実践を行う看護師には,感情的知性、状況の変化への対応能力、極限状況で乏しいリソースの管理能力などの要素が強調されている。マネージャーはこれらの例を使用して,災害管理ポリシーを改善する方法をサポートするだけでなく,スタッフのサポートにも取り組むことができる。
臨床実践との関連性
災害救助における看護職員の役割は大きな注目を集めている。災害救助中の看護師の経験を理解することは,将来のリーダーが,教育,訓練,管理を通じて対応能力と看護の備えを向上させるのに役立つだけでなく,災害後の精神的なサポートを継続するのにも役立つ。
キーワード: 災害管理; 災害看護; 災害救援; メタ合成; 自然災害; 看護師たち
コメント
本研究は,自然災害救助に参加した看護師の経験を総合し,災害救助実施の過程で看護師が改善すべき分野を提言している。対象となった10本の論文は,米国,中国,イラン,アラブ,ハイチ,ニュージーランドなどの論文が含まれていた。
俊敏な対応においては,プロトコルとガイドラインの重要性が指摘されている反面,一部の看護師は訓練を受けても実際の災害に直面すると圧倒される経験をしていた。
リーダーシップと革新的な問題解決においては,研究参加者は,災害時は救助物資の不足と救助の効率が著しく低下するが,看護リーダーは,最前線において救助状況に正確判断し,緊急計画を策定し,さまざまな救助地域に物資を合理的に割り当てたことを報告していた。その前提として,「信頼」が災害対策の鍵であることが述べられ,看護職内および他職種間と信頼できる関係性を確立するこの重要性が述べられている。多くの参加者は,役割の変化に迅速に適応し,災害シナリオに合わせて役割と実践範囲を広げることができたと報告したが,一方で,一部の参加者は,役割の変化に適応できないため,基本的な救助作業さえ遂行できなかったと述べ,専門的知識や訓練の必要性が述べられている。
レジリエンスの構築について,対象文献の中には,看護師がどのようにレジリエンスを高めたか,患者や親族の基本的なニーズを満たすために革新的な解決策をどのように提供したか,また,看護師自身のニーズを満たすための戦略に取り組んでいる多くの例が示された。看護師らは,資源配分,トリアージ,治療の優先順位,文化の違い,公正な治療などの問題に直面し,これらが意思決定に影響を与え,変化する状況に適応するための回復力を損なうと述べている。看護師が逆境の中で前向きな仕事の信念を維持し,過負荷ストレスによって引き起こされる職業上の挫折を減らし,仕事を続けるのを効果的に助けることが文献により示されている。著者は,看護師のレジリエンスを高めるためには,自尊心の確立,協力的な社会的関係の維持,柔軟性の維持,自分のニーズへの集中,タイムリーな問題解決,合理的な目標の設定,前向きな姿勢の維持などを考慮すべきであると述べている。著者らは,看護師がレジリエンスを構築するのを支援することで,ストレスを正確に認識し,効果的な対処戦略を立てることを可能にすると述べている。著者は,看護師のレジリエンスを高めるために,リーダーは救助活動を効果的に調整し,看護師の勤務スケジュールを合理的に調整し,看護師が災害事象や災害によって引き起こされる健康リスクに関する教育を受けるように組織し,看護師に災害救援における柔軟なレジリエンス緩衝期間を提供する必要を提言している。
肯定的なコミュニケーションと心理的/感情的サポートの必要性が説かれていた。すべての研究において,参加者は心理的プレッシャーの増加を示した。それは,新しいチーム メンバーとの協力の難しさ,悪い災害経験,および災害の深刻な結果の可能性から生じていた。多くの看護師は,災害対応後に何かしらのトラウマを経験しており,その後の感情的な問題形成につながっていたので,著者らは心理カウンセリングは,災害救援活動全体を通して重要だと主張している。また,電子情報機器を使用したオンラインコミュニケーションは,チームメンバー間のコミュニケーションを促進し,救助経験を共有することで看護師のストレスを和らげることができることが示されている。
本研究によって,災害時の看護師の役割の重要性が示される一方で,被災地に赴く看護師の教育支援体制不足も提起されている。自然災害の発生は予測はできないが,どこかで必ず起きるものであり,災害時の看護師のコンピテンシーを高める支援が急務である。