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No. 8 (被引用数:62)

Abstract

Every year thousands of people are being displaced in coastal areas of Bangladesh due to natural calamities associated with climate change, known as Internally Displaced Peoples (IDPs). Climate change adaptation measures play a significant role in coping with the alteration of climatic components, while various forms of barriers hinder the sustainability of adaptation. This research was conducted to understand the perception of IDPs on climate change impact on health in the coastal areas of Bangladesh, including the adaptation practices and barriers to the coping strategies. To fulfill the objective, 420 individual surveys were conducted randomly in two Sub-districts of Khulna district in Bangladesh. The findings reveal that the riverbank erosion and cyclones were the primary reasons for displacement, and the social relationships were hampered in the new places of living. Also, the temperature in summer and winter, and the rainfall intensity increased, whereas rainfall slightly decreased over the last ten years. Differences of opinion were identified about the effects of the changing climatic variables on the respondents' health between the previous and present locations. Despite practicing different adaptive strategies, the weak financial condition and a lack of access to health care information are mostly hindering the sustainability of adaptation. This research may help policymakers in taking proper initiatives to ensure sustainable adaptation practices in the coastal areas. Keywords: Environmental hazard; Environmental health; Environmental pollution; Coastal geography; Natural hazard; Climate change; Health; Impact; Adaptation; Barriers; Coastal areas

抄録

毎年,バングラデシュの沿岸地域では,国内避難民(IDP)として知られる何千人もの人々が,気候変動に伴う自然災害により避難させられている。気候変動の適応策は,気候要素の変化に対処する上で重要な役割を果たしているが,さまざまな形の障壁が適応の持続性を妨げている。この調査は,気候変動がバングラデシュ沿岸地域の健康に与える影響について,適応策や対処戦略の障壁など,国内避難民の認識を理解するために実施された。この目的を達成するために,バングラデシュの Khulna地区の 2 地域で 420 名の個別調査が無作為に実施された。その結果,川岸の侵食とサイクロンが避難の主な理由であり,新しい居住地では社会的関係が妨げられていたことが明らかになった。夏と冬の気温と降水量は増加したが,降水量は過去10年間でわずかに減少した。以前の場所と現在の場所の間で,気候変動が,回答者の健康に及ぼす影響について意見の相違が確認された。さまざまな適応戦略を実践しているにもかかわらず,脆弱な経済状況と医療情報へのアクセスの欠如が,適応の持続可能性を主に妨げていた。この研究は,政策立案者が沿岸地域で持続可能な適応実践に取り組む上で役立つ可能性がある。 キーワード: 自然災害; 気候変動; 健康; 影響; 適応; 障壁; 沿岸地域

コメント

 バングラデシュでは,沿岸部が気候変動の影響を最も受けやすく,毎年,膨大な数の人々が国内避難を余儀なくされている。この研究は,バングラデシュ沿岸部に再定住したコミュニティの気候変動への適応と障壁について,質的アプローチと量的アプローチを組み合わせた混合法アプローチにより検討された。質的データは,住民への4回のフォーカスグループディスカッション,国内避難民と気候変動の問題に取り組んでいる関係者による8回のキーインフォーマントインタビューによって収集された。量的データは420世帯を無作為に抽出しアンケート調査によって収集された。回答者の50%は男性で大半は,38〜47歳の年齢層であった。 川岸の浸食とサイクロンは,避難民が増加する最も一般的な原因と考えられ,避難民は自然災害により土地や家畜,生計手段などすべての財産を失っているため,賃金だけでは経済的に家計を維持することができず,そのことは健康状態に影響を与えていた。 この研究によると,国内避難民は,夏季の気温の上昇,冬の寒さ,降水量の増加などを感じ,気候変動により,腎臓病,呼吸器疾患,皮膚疾患が発生していると認識していた。 また,コレラなどの水媒介性疾患やヘビや蚊など動物媒介性疾患の増加を認識していた。  病気を避けるための適応策として,水を飲む,経口生理食塩水を摂取する,蚊帳を使用する,常にヘビに気をつける,近所や親戚に病気について相談する,村の医者を訪ねると回答していた。障壁として,92.9%が治療を受けるためのお金がないことに苦しみ,90.5%が医療情報にアクセスできなかった。また,社会的地位の低さや宗教上の課題が適応プロセスを妨げていると回答した。経済的問題の解決として,医療を受けるために親族や近所の人からローンを組むこともあったが,家族の財政よりも自分の健康を優先したくなかった。著者は,国内避難民コミュニティの適切な運営は,適切なスキルと訓練,そして十分な生計機会の保証によって確保されると述べ,政府と非政府組織(NGO)は,国内避難民コミュニティへ社会的・経済的支援をする必要があると結論づけている。  気候変動は様々な形で,経済的弱者を生み出し,その健康を悪化させている実態を本研究は描いている。