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No. 7 (被引用数:82)

 

Abstract

In recent years the adverse impacts of climate change on the natural environment and the multiple threats it poses to human health, especially in the Global South, have become increasingly evident and these are likely to increase in the near future, with more people likely to be risk. This study investigates households' vulnerability to public health risks in disaster-prone areas of Pakistan. It uses a dataset of 600 households, based on structured questionnaire with household heads from two severely flood-affected districts (Nowshera and Charsadda) in Khyber Pakhtunkhwa (KP). Household vulnerability to flooding and related health problems are assessed through a logistic regression model. The results reveal that respondents' socio-economic and demographic attributes, such as age, gender, education, income, the materials out of which their house is constructed, past experience of floods and social networks are the key factors influencing their flood vulnerability. Households' health vulnerability is affected by their access to information and health facilities, their sanitary arrangements, distance from the main health facility and previous damage to water supply and health facilities from the flood in 2010. The findings suggest the need to overcome households' flood and health vulnerability through capacity building, training and sustainable mitigation efforts. At the governmental level, a comprehensive and realistic stakeholder analysis is needed to ensure the active involvement of all stakeholders, to generate their commitment and support and to identify what actions are most needed. Any actions to minimize household health risks will require an integrated, multi-sector, approach which would increase efficiency through pooling resources and skills. Keywords: Flood disaster; Vulnerability; Health risks; Health facilities; Khyber Pakhtunkhwa; Pakistan

抄録

近年,気候変動が自然環境に及ぼす悪影響と,それが人間の健康にもたらす複数の脅威が,特にグローバル・サウス地域でますます明らかになり,近い将来さらに増加する可能性があり,より多くの人々が感染する可能性がある。この研究は,パキスタンの災害多発地域における公衆衛生上のリスクに対する世帯の脆弱性を調査したものである。これは,Khyber Pakhtunkhwa (KP) の 2 つの深刻な洪水被害を受けた地区 (Nowsheraと Charsadda) の世帯主に対する構造化されたアンケートに基づいた,600 世帯のデータを使用している。洪水および関連する健康上の問題に対する世帯の脆弱性は,ロジスティック回帰モデルを通じて評価された。その結果,回答者の年齢,性別,教育,収入,家の材料,過去の洪水経験,ソーシャルネットワークなどの社会経済的および人口統計的属性が,洪水に対する脆弱性に影響を与える主な要因であることが明らかになった。世帯の健康脆弱性は,情報や医療施設へのアクセス,衛生設備,主要な医療施設からの距離,2010 年の洪水による水道と保健施設への過去の被害によって影響を受ける。調査結果は,世帯が洪水を克服する必要性を示唆している。能力開発,訓練,持続可能な減災努力を通じて健康脆弱性を改善する。政府レベルでは,すべての利害関係者の積極的な関与を確保し,支援を生み,最も必要な行動を特定するために,包括的かつ現実的な利害関係者分析が必要である。家庭の健康リスクを最小限に抑えるためのあらゆる行動には,リソースとスキルを共有することで効率を高める,統合された複数部門のアプローチが必要である。 キーワード: 水害; 脆弱性; 健康リスク; 保健施設; カイバル・パクタンクワ; パキスタン

コメント

 このアンケートによる横断的研究は,洪水による世帯の脆弱性に関連する属性を評価する目的で実施された。パキスタンの深刻な洪水被害を受けた2つの地区で,実施されたが,同地域では1950年から2014年の間に22回の大洪水が発生している。この地域は男性優位が強く,女性が見知らぬ人と交流することは許されていないため,回答者の大多数(81%)は男性であった。 回答者の平均年齢は37.52歳,平均学校教育年数は6.5年,平均家族人数は6.4人,回答者の4分の3以上(77%)が過去に洪水を経験したと回答し,81%が家を所有し,50%が医療施設にアクセスできるが77%は医療施設にたどり着くために30分以上移動する必要があり,ほぼ半数(45%)が浄化槽に接続されたトイレを持っていた。  この研究では,洪水に対する脆弱性尺度を従属変数として,世帯の社会経済的および人口統計学的特性と健康脆弱性を独立変数としたロジスティック回帰分析が実施された。その結果,洪水に対する脆弱性は,女性,高齢者,家族規模,貧困,災害の経験,持ち家,泥で作られた家,医療施設へのアクセスの悪さで高まり,教育,ソーシャルネットワーク,鉄筋の家,浄化槽付きトイレで軽減した。これらの項目をみると,ほとんどの項目は貧困と関係していることがわかる。例えば,貧しい世帯は,十分な教育が受けられず,脆弱な家に住み,安価な災害が発生しやすい場所に住み,それは保健ユニットや医療機関から遠く離れているだろう。その結果,貧困により脆弱性が増幅され,貧困がさらに加速するという悪循環を招くと考えられる。健康のリスクは,保健組織を超えたアプローチが必要であり,コミュニティにおける草の根の支え合いとともに国家的な介入も重要だと考えられるが,著者はコミュニティと政府との信頼関係が十分でないことも提起している。災害時の救済は公助は3割で7割が共助と言われるので,コミュニティのレジリエンスを高める平常時からの活動が鍵を握ると考えられる。