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No. 6 (被引用数:83)

 

Abstract

Background Hospitals play a vital role in disaster stricken regions. The resilient hospitals will be able to provide essential services to affected people and it can mitigate the risk of injuries during and after disasters. This study aimed to obtain the indicators required for the evaluation of hospital resilience. Methods This systematic review was conducted in 2018. Through this systematic review, international electronic databases were investigated for the research studies published in English. The exclusion and inclusion criteria were determined to extract the hospital resilience indicators. These indicators will be used in order to develop a model to keep the system performance at an acceptable level during disasters. Results Out of 1794 research studies published until September 2018, 89 articles and guidelines with full text were surveyed. Thirty-two articles and guidelines were then selected and analyzed to collect the indicators related to hospital disaster resilience (HDR). The domains and the indicators were extracted from these selected research studies. The authors collected and categorized them into three domains and twenty seven subdomains. The three domains included constructive, infrastructural, and administrative resilience. The relevant indicators were designed for each subdomain to assess HDR. Conclusion Since diverse indicators affect hospital resilience, other studies should be conducted to propose some models or tools to quantify the hospital resilience in different countries and scopes with an all hazards approach. Keywords: Disaster; Hospital; Resilience; Structural and non-structural systems; Indicators

抄録

背景 被災地において病院は重要な役割を果たしている。レジリエンスのある病院は,被災者に必要なサービスを提供することができ,災害中および災害後に負傷するリスクを軽減できる。この研究は,病院のレジリエンスを評価するために必要な指標を開発することを目的とした。 方法 このシステマティックレビューは 2018 年に実施された。このシステマティックレビューを通じて,英語の研究について国際的な電子データベースが検索された。除外基準と包含基準は,病院のレジリエンス指標を抽出するために決定された。これらの指標は,災害時にシステムのパフォーマンスを許容可能なレベルに維持するためのモデルを開発するために使用されている。 結果 2018年9月までに発表された1794件の調査研究のうち,全文が記載された89件の論文とガイドラインが調査された。次に,病院の災害回復力 (HDR) に関連する指標を収集するために,32 の論文とガイドラインが選択され分析された。ドメインと指標は,これらの選択された調査研究から抽出された。著者らはそれらを3 つのドメインと 27 のサブドメインに分類した。3 つのドメインには,建設的,インフラストラクチャ,および管理上のレジリエンスが含まれる。関連する指標は,HDR を評価するためにサブドメインごとに設計された。 結論 病院のレジリエンスにはさまざまな指標が影響するため,あらゆる危険を考慮したアプローチで,さまざまな国や地域で病院のレジリエンスを定量化するためのモデルやツールを提案するための研究を実施する必要がある。 キーワード: 災害; 病院; 回復力; 構造システムと非構造システム; 指標

コメント

 この研究の目的は,病院の災害レジリエンス(HDR) の評価に使用できる要素を特定,収集,分類することである。総数1794件の文献からPRISMA チェックリスト評価ツールに基づき最終的に32件が選択された。HDR を定量的に測定できるように,一連のドメイン(領域),サブドメイン,および関連指標が抽出された。3つのドメインと27の三郎メインが抽出され,建築的レジリエンス(病院の建物やスペースなど),インフラストラクチャのレジリエンス(電力,水道,防火などのライフライン),管理的レジリエンス(災害計画,災害管理など)が示された。それと同時に病院安全指数 (HSI),病院の耐震性の測定フレームワークや病院の災害を評価するための多数の関連指標が抽出された。著者らは,今回明らかとなったドメインやサブドメインはこれまで十分に考慮されてこなかったものを含むと述べている。特に,建築的レジリエンスはこれまで注目されてきておらず,病院の構造および非構造部に実質的に関連する研究はほとんどなかったことが示されている。先行研究のほとんどは,病院内の電気,水道,交通ネットワークに重点を置き,通信システム,ガス供給システム,下水システムなどの他の非構造なユーティリティはあまり考慮されてこなかった。著者らは,病院の機能を維持するためには建築的レジリエンスは重要であると述べている。インフラストラクチャのレジリエンスのサブドメインとして,電力会社をテロ攻撃やサイバー攻撃から保護することが強調された。  この研究により,全世界において,HDRを評価するための様々なフレームワークと具体的な指標が提案されていることがわかる。看護活動は病院のレジリエンスがあって成り立つものであるので,病院のレジリエンスを高めていくことに看護職も貢献する必要があると考えられる。